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投資銀行部門(IBD)には行くな!年収3000万円に聞く運用会社・ヘッジファンドへの就職・転職

今回は運用会社に勤務する年収3000万円のシニアポジションの方から話を伺うことが出来た。コンサルや投資銀行に関する情報は最近はメディアの発達もあり出回っている場合が多いが、運用会社やヘッジファンドに関する情報は闇に包まれたままだ。

結論としては

「IBD・投資銀行部門なんかで奴隷労働して運良くMDになれたとしても年収7,000万円程度でしかなくアーリーリタイアなど無理。年収3000万円で60歳まで安心して働けてゆるふわな環境で生きたほうが期待値がよほど高い。ヘッジファンドに行けば最高年収10億という場合もある」

ということだ。

IBD・投資銀行部門の給与はリーマン前後で半分近くに減っており、もはや目指す価値はないのかも知れない。それではインタビューを見ていこう。

 

*ちなみに当然だが業務内容はIBD

インタビューイーのプロフィール

国立大学文系を卒業。国内大手証券会社(IBD、リサーチ部門)に新卒から十数年勤務し30前半、年収1,300万円で外資系証券会社にVPで転職。年収は2,500-3,000万円にUP。その後外資系運用会社のディレクタークラスで年収3,000万円程度。

運用会社・ヘッジファンドのキャリアとは 

新卒で入る場合は運用会社で基礎を学びキャリアをスタート

--新卒が運用会社・ヘッジファンドで稼ぎたいならどのようなキャリアがよいのでしょうか

私のおすすめは運用会社にまず就職することです。そこでファンドマネージャー・ポートフォリオマネージャーを目指すというのが基本的なルートです。株式、リサーチ、ファンダメンタルズ、マクロ、財務、という基本的なことを学べます。

外資は新卒をほとんど取っていませんので国内でよいと思います。野村、大和、日興各社全部ポジションがあります。

会社名よりもファンドマネージャーになれるコースに乗れるかという点を重視したほうがよいです。一般的な業界と運用会社が違うところは会社のヒエラルキーというのはあまりありません。

有名なところだとGSAM(ゴールドマン・サックス・アセットマネジメント)やフィデリティがありますが、規模だけを見るべきではありません。

メジャーなところはピムコやウェリントンですね。

全体の利益が大きい、という点は重視するべきではなくむしろ1人あたりの利益を見たほうがよいです。

ただしピムコやウェリントンは新卒を採用していません。これを逆に考えると転職でハイポジションに入りやすいです。GSAMは新卒採用をしている分、新卒で上のポジションも固まってしまい転職でVP以上で行くことが難しくなっています。

ヘッジファンドに行きたいなら株を学ぶと行きやすいのではないでしょうか。株の場合、運用会社で基本を学び経験を積むのがよいでしょう。

国内系に新卒で就職して3年ほどではまだ外資で課長にあたるVPでは採用してもらえません。

5年ほど経験を積むとシニアアソシエイトくらいで雇ってもらうことが出来ます。

そこで成果を出せば、いつでもエージェントに相談すれば転職チャンスは出てきますね。

ファンドマネージャーになるにはアナリストから

私もよくエージェントや同業者から相談されますが、例えば日本株のアナリストで良い人年俸6,000万円で人を探しているという話などはよく聞く話です。

ただしアナリストは固定給なので成果報酬はありませんけどね。要はポートフォリオマネージャーの子分のようなものです。年俸6,000万円ですが笑。

そこで成績が良ければポートフォリオマネージャーとなって自分の口座をもたせてもらうことが出来ます。

足がかりはアナリストで後は結果だけの成果ですね。IBD(投資銀行部門)のように奴隷の如く働くこともありませんし、アップサイドも全然よいです。

ファンドパフォーマンスは外部環境の影響が大きい

ヘッジファンドが儲かるのはホリエモンが言っていた儲かるビジネスの特徴で考えればよくわかりますよね。

・元手がかからない

・在庫も仕入れもない

・無限に複製出来る

人も10名いればいいですね。これが証券会社となると、インフラが必要であったり大規模な投資が必要となります。このような大規模投資はなく自分の相場観でやっていくのがヘッジファンドの世界です。

元手はかからずアップサイドは上がった分だけあります。基本的に上がった分の20%がファンドの取り分ですね。

アップサイドは個人の能力というよりマネーの総量が決定する場合が実は多いです。リーマン前はみんなバカみたいに儲かっていましたが、これは単純に中央銀行が馬鹿みたいに低い金利でじゃぶじゃぶ金を流していました。

資金量が大きくなると運用のニーズが出てきます。大きな金は債券や株に流れますよね。大きな金が流れると市況も上がる、胴元である運用者は儲かる。こういった構造です。

世界が成長すればマネーの量は増えるのでまだまだチャンスはありますよね。しかも今、証券会社がトレーディング出来なくなっているのでファンドにチャンスがあります。

アジア株にはまだまだ可能性がある

これからまだ資金が増える中国やインドなどは活気づくでしょうね。

資金は増えても運用先が不足している状態が続いています。日本株は下がったと言っても日経平均2万円を越してます。日本国際の利回りは0.1%、ドイツ0.3%、このように運用する場所があまりありません。

そうすると否応なしに資金は他の証券に流れます。

このような金余りの状況なので2,000億円くらいのファンドも枠がすぐに埋まってしまいます。上手く運用出来るファンドに対する需要はかなりのものがあるでしょうね。

編集コメント:

最近良く感じますが、「成功」を決めるのは優秀さではなく時流と自分がいる場所だと強く感じています。リーマン前に大きな金が流れており、自分にも入りやすいファンドという場所にいれば半分成功したようなものでしょうね。

参考記事:

「運」を分解。ビジネス・起業で成功する人の特徴は何か - シャイニング丸の内日報 - 成長意欲が高い若手社会人・学生のためのキャリアメディア -

--自分でファンドを立ち上げるにはどうすればよいのでしょうか

編集コメント:

これほど年俸が高いと敢えて自分で立ち上げるインセンティブは低いとは思うが聞いてみた

ファンドを立ち上げるなら金を引くさきはまず、個人の金持ちですね。銀行や保険はサラリーマンなのでリスクを嫌うため、いきなり個人には出しません。

ベンチャーで成功した人から10億程度の金を引っ張り立ち上げるのが第一歩でしょうね。

清原ファンドという有名なファンドが昔あって2006年頃に一番活躍していたと思いますが、これもそのような規模から始まりました。日本は横並び主義なので、上手く運用出来てどこかの大口投資家が乗ると一気に金が集まります。

編集コメント:

清原ファンドとは長者番付があった時代、推定年収100億円として有名になった清原氏が運用していたファンド。

目指すべきパフォーマンスとしてはいきなり上げるような運用方法ではなく、理想的なのはコンスタントに15%程度を安定して出してくれることです。もちろん現実的には難しいですし、分母にもよりますけどね。

売れているプライベートエクイティが20-30%程度の年間リターンだったと思います。これはかなり優秀ですが、最低二桁ですね。

編集コメント:

確かアドバンッテジパートナーズやユニゾン・キャピタルのリターンも同じようなものだった気がします。働いている人へのリターンとしては外資系のファンドでかなりラッキーな案件に当たってる人で30代で1億貰った人もいました。

未上場株のプライベートエクイティファンドは特に日本の場合は小さいですよね。小さいということは当然稼ぐチャンスも少ない。

20代であれば業界外からでも転職可能

--新卒で例えばコンサルに行った場合、そこから運用に行くことは出来るのでしょうか

20代だったらむしろ喜ばれると思いますよ。転職の場合、運用部門狙い撃ちで転職するのがよいでしょうね。

新卒の場合はコース別採用がないため、例えば東大法学部卒などであれば人事部に配属されるというケースもあります。

ゴールドマン・サックスの場合は一応コース別ですが、「アセットマネジメント」という大雑把な分け方です。GSAMの中でどのような業務をやるかは分からない。

他にも聞いたケースではブラックロックという世界最大級のファンドがありますが、配属はクライアントレポーティングという投資家に報告する、いわば事務ですね、そのような場合もありました。

外資系の場合は若すぎるとあまり必要ないんですよね。箔が重要な世界ですので、経験何年というものが売りになります。そうすると24、25歳くらいの人には需要がなく雑務になりがちです。

それなら20代は日系で修行したほうがよいかも知れませんね。

英語が話せればシンガポールや香港でもポジションはある

--基本的に日本のポジションは日本株運用なのでしょうか

そうです。例えばアメリカ株に投資をするのであれば再委託と言ってアメリカ側に運用を委託する形になります。それでサヤを抜くというモデルです。

もし海外の株、例えばアジア株をやりたいのであれば日本で株の勉強をしその後シンガポールや香港に転職するのがよいでしょう。

野村證券は香港株を運用する強い部門は持っていないので、もしやりたいのであればシンガポールや香港のファンドにレジュメを送ってポジションを探すという道になります。

転職のハードル自体は実は高くありません。運用会社には英語が出来る人が1割くらいしかおらず、それに加え日本株のセンスがあるのであればいくらでもチャンスがありますよ。

年俸自体はシンガポールはそれほど高くなく、香港はやや高いくらいです。ただし物価も高いので生活は似たようなものでしょうね。

ただ向こうに行ったほうが面白いと思いますよ。日本株はアップサイドはそれほどないのでアジア株のほうが面白みはあるでしょうね。

日本株でチャンスがあるとするなら見ている人が少ない小型株ではないでしょうか。清原ファンドも小型株です。

--EU、アメリカにもチャンスはあるのでしょうか

イギリスで活躍している人はいなくはないですけど、基本的には投資対象となる国で生まれ育った人が運用するという考えなので、わざわざハンディがある日本人を雇うケースは多くありません。

--ファンドは東京にはいくつほどあるのでしょうか

数十件はあるのでしょうね。ただよくわからないのは、免許を取っていないところ。情報収集用にオフィスを持っている場合もあります。

最近面白いのはAIで運用するファンドの最大手のTwo sigmaというファンドです。最近東京オフィスが出来ました。知り合いが転職したのですが、まだ東京でのオペレーションが始まっていないので暇みたいですよ。ただ年収4,000-5,000万円はあります。

--AI運用などが始まるとエンジニアにも転職機会はあるのでしょうか

ITについては外注している場合が多いため、あまりないですね。

それと「エンジニア」として自分を売り込んではだめで「元エンジニアのクオンツ」と言ったほうがよいポジションに付くことが出来ます。一個そういったキャリアを挟んだほうがよいです。

運用会社は長く安心して働ける環境

--運用会社は60歳頃まで安心して働けると伺いましたが成績が悪くても大丈夫なのでしょうか

投資銀行との大きな違いはフロービジネスとストックビジネスの違いです。

編集コメント:

フローとは仕事を取り続けないと売上が上がらないビジネス。コンサルや投資銀行部門のビジネスはほとんどがフローです。

運用会社の場合、運用手数料が売上となるため資産規模が変わらなければ売上は一定です。

パフォーマンスが悪かったとしてもヘッジファンドと違って野村などの伝統的な運用会社はクビにすることはないですね。ましてやバックオフィスはほとんどクビになりません。

面白いのがウェリントンという投資会社なんてクビにしないということを売りにしていますよ。のほほんと働いているように見えるのですが、成績はよいのですよね。

これはコーポレートカルチャーというかなんというか...強いですよね。

それと投資銀行部門のように奴隷の如く働いたと言ってもパフォーマンスが出るものでもありません。センスによる部分が大きいですよね。

意外と生真面目な人というのは活躍してないですよね。

結局どうやってヘッジファンドは儲けているのか

--市場の歪みはどうやって見つけるのでしょうか

色々ありますよ。ファイナンスに関する情報が全て平等に知れ渡っていることは基本的にないので、特定分野において他の人にはない情報を持っていることで儲けることが出来ます。

その知識を使って早めに動くということでしょうね。運も大きいでしょうけどね。

清原ファンドなんてたまたま始めたときに相場が好転し始めましたからね。

理論上の嘘を発見する

儲け方として理論上の嘘を発見するというのもあります。

ただ多くの儲かっているファンドの中身を見ると例えば昔のガンホーのように特定銘柄が20,30倍と跳ねているケースが多いです。

やはり市況が盛り上がり始めるときに運用を始めるというのが成功には必要でしょうね。中々狙ってできるものでもありませんが。

ただ不思議なことにずっと勝ち続けている人もいますね。

ファンダメンタル重視で日本株を中心に運用している人もいますし、クオンツ系の人もいます。

ただ基本的に他の人が目をつけていないところにいち早く投資をするというのが必要でしょうね。

タワー投資顧問の清原さんもJ-REIT(不動産ファンド)を早い段階で買い漁ったことが成功要因の一つです。今であれば例えば仮想通貨などです。まだ行けるかも知れません。

--他のファンドの投資方法は分かるものなのですか?

なかなかわからないですよ。時間が経って情報が出回りマネを始めるというものですね。

--インサイダーで逮捕される人はいますか?

いや、あまりいないですね。

--事業に深い知見がある人と運用会社が組むケースがあるのでしょうか

少し違うかも知れませんが、例えば第三者割当を狙うなどですよね。

インサイダー取引というのは公開株に適用されるルールですので市場で取引されていない投資対象には適用されません。

ゴールドマン・サックスの東京オフィスが一番儲かった案件の一つが三井住友銀行の第三者割当の引受です。引き受ける前に不良債権の状況などを調べ、2000億円分を引き受けてそれを売って相当儲かったと言われています。

これは三井住友銀行から直接引き受けていていますのでインサイダーには当たりません。今ではそういった需要も減ってはいますけどね。

30歳頃で年収1500-2000万円、その後アップサイドは無限大

--運用系のキャリアは収入はどのような推移となるのでしょうか

新卒で日系からだと400-500万円程度からスタートとなります。

30歳くらいで外資系に転職するとそれが基本給が1,000万円+ボーナスで合計1,500-2,000万円程度でしょう。

編集コメント:

30歳で1,500-2,000万円ですとコンサルの場合は早めにマネージャーになれた人でないとここまでなりません。ただ労働時間は運用会社の倍くらいあります笑。

運用会社の場合は6時くらいにはみんな帰ってしまいます。

収入と労働時間だけ見るとコンサルは割に合わないでしょうが、羨ましいのは汎用性ですよね。金融ばかりやっていると自分でビジネスが出来ない人間になってしまいます。

外から見て中途半端だと感じているのは出来上がってしまった元ベンチャーに就職する場合ですよね。給与も低いし、少人数でビジネスをしているわけではないので独立しやすいスキルが身につくとも限らないのではないでしょうか。

編集コメント:

上場している「元ベンチャー」は本当に給与が低い。給与水準はまだ会社が儲かっていないときのままで来ているケースが多い。

その後はファンドマネージャーになる人であれば本当にアップサイドは無限大。アナリストであっても先程挙げた例のように年収6,000万円という求人もあります。IBD(投資銀行部門)より全然いいですよね。

ヘッジファンドの場合はダメだと1年でクビになりますが、アップサイドが大きいことがよいところです。成果報酬のデイトレーダーに近いような職業ですからね。

運用会社はそこまでアグレッシブな雰囲気ではななく、もっとゆっくりしていますよ。

暇なポジションでも年収3,000万円程度のポジションも結構あります。

東京のヘッジファンドで一番稼いでいる人は10億ほど年収があるはずです。

運用会社・ヘッジファンドに強いエージェントはどこか

--運用会社のポジションはどのように探すのでしょうか

 新卒採用の就職であれば日系は普通の新卒と同じように募集しています。

その後は基本的に金融系に強いエージェントを使うことですね。

アンテロープ、ロバートウォルターズ、イーストウエストコンサルティング、マイケルペイジ、アージス、他今は無き独立系外資金融特化型エージェント多数などです。

他にもサーチファーム系ハイドリック&ストラグル、エゴンゼンダー等も自分では使いました。

そういえば私も金融業界で様々な経験してきたので新卒の動向については疑問に思うことは多いですね。メガバンなんて何故今行くのか理解出来ません。

私がもし学生に戻るなら日系の野村や大和のコース別採用に行くかと思いますね。外資系はもう疲れましたから笑。

バックオフィス系のキャリアはこちらです:

ゴールドマン・サックス等5社転職を経験した外資歴30年社員が語る「外資系の生き抜き方」 - シャイニング丸の内日報 - 成長意欲が高い若手社会人・学生のためのキャリアメディア -

運用・ヘッジファンドは魅力に見えるかと思いますが、転職をしてよいかどうか悩んだらこちらの記事をご参照下さい:

転職で失敗して後悔しないために必ず知っておいて欲しいこと - シャイニング丸の内日報 - 成長意欲が高い若手社会人・学生のためのキャリアメディア -

 

ありがとうございました!